子宮内膜症
01 子宮内膜症とは

子宮内膜症とは、本来子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜の組織が、卵巣・腹腔内・腸など子宮以外の場所に発生する病気です。
月経のたびに子宮以外にできた内膜組織も剥離・出血しますが、その血液や組織を体外に排出することができず、体内に蓄積されていきます。その結果、卵巣内に血液がたまってのう胞(チョコレートのう胞)を形成したり、炎症による骨盤内臓器の癒着が起こったりして、さまざまな症状を引き起こします。
02 子宮内膜症の症状
月経痛・月経時以外の腹痛・排卵痛・過多月経が主な症状です。性交痛や排便痛も特徴的な症状として見られます。また、不妊症につながる可能性もあります。
子宮内膜症による痛みは、初経後しばらくはそれほど強くなくても、年齢とともに徐々に悪化していく傾向があります。この慢性的な痛みが日常生活や仕事に支障をきたすケースも多く、生活の質(QOL)を大きく低下させる病気です。
「月経痛がひどくなってきた」と感じたら、早めにご相談ください。
03 子宮内膜症の治療

子宮内膜症の治療には「薬物療法」と「手術療法」があります。
年齢・妊娠の希望・症状の程度・病変の重症度などを総合的に判断したうえで、最適な治療法をご提案します。子宮内膜症は慢性疾患であり長期の治療が必要なため、効果が高く副作用が少ない治療を心がけています。
子宮内膜症のホルモン治療
低用量ピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合錠)
子宮内膜の増殖を抑えることで痛みを和らげ、経血量を減らす効果があります。避妊効果やPMSの症状緩和、にきび・肌荒れへの効果も期待できます。
黄体ホルモン療法(ジェノゲスト)
子宮内膜症の病変に対して高い効果を発揮し、痛みをしっかり抑えることができます。副作用が少なく長期使用が可能なため、症状が重い方や低用量ピルの効果が不十分な方におすすめの治療法です。
GnRHアナログ療法(偽閉経療法)
人工的に閉経状態を作り出すことで月経を止め、症状を改善させる治療法です。効果は確実ですが、6ヵ月以上の継続使用はできないため、効果が得られた後は他のホルモン療法や手術療法へ切り替えます。
当クリニックの治療方針
経腟・経腹超音波検査やMRI検査を用いて病変の程度や卵巣の状態を正確に診断したうえで、症状の強さ・年齢・妊娠や出産のご希望・病変の重症度などを総合的に判断し、薬物療法・手術療法を含む最適な治療法をご提案します。
手術が必要と判断した場合は、当院にて開腹手術を行います。子宮内膜症は再発しやすく、卵巣チョコレートのう胞はまれにがん化することもあるため、長期にわたる経過観察と継続的な治療が重要です。患者さまの状況に合わせて、一緒に最適な治療法を選んでいきます。
子宮筋腫
04 子宮筋腫とは

子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。婦人科領域では最も多く見られる病気のひとつで、30〜40代の女性の多くに認められます。女性ホルモン(エストロゲン)によって大きくなる性質があり、閉経後はエストロゲンの分泌が低下するため、自然に小さくなることがほとんどです。
発生する場所によって以下の3つに分類されます。
| 種類 | 発生場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| 粘膜下筋腫 | 子宮の内側(粘膜下) | 小さくても症状が強く出やすい |
| 筋層内筋腫 | 子宮の筋肉の中 | 最も多く見られるタイプ |
| 漿膜下筋腫 | 子宮の外側 | ある程度大きくなっても症状が出にくい |
05 子宮筋腫の症状
最も多い症状は、月経量が増える「過多月経」と「月経痛」です。そのほか、下腹部の張りやしこり感、頻尿、腰痛などが現れることもあります。症状の現れ方は、筋腫の大きさと発生部位によって大きく異なります。
また、子宮筋腫は不妊症や流産・早産の原因となることもあるため、妊娠を希望される方は早めにご相談ください。
06 子宮筋腫の治療

手術療法
妊娠を希望しない方には、子宮を全て取り除く「子宮全摘術」をおすすめします。子宮全摘後は筋腫が再発することはなく、卵巣は残すためホルモンバランスへの影響も心配ありません。
将来的に妊娠を希望される方には、筋腫だけを取り除く「子宮筋腫核出術」を行います。これらの手術は多くの場合、腹腔鏡や子宮鏡を用いた内視鏡下手術で行いますが、筋腫の大きさや部位によっては開腹手術となる場合もあります。
薬物療法
貧血や痛みに対しては鉄剤・鎮痛剤による対症療法を行います。
また、GnRHアナログ製剤を使用した「偽閉経療法」では、月経を止めて筋腫をおよそ半分の大きさまで縮小させることができます。過多月経や月経痛などのつらい症状が改善される一方、女性ホルモンの低下による更年期様症状が現れることがあり、使用期間は6ヵ月以内に限られます。治療を中止すると筋腫は元の大きさに戻るため、手術前の一時的な使用や、閉経までの「逃げ込み療法」として用いることが一般的です。
低用量ピルは筋腫を縮小させる効果はありませんが、経血量の減少や月経痛の緩和に効果があります。
当クリニックの治療方針
経腟・経腹超音波検査やMRI検査を用いて、筋腫の大きさ・発生部位・数を正確に把握したうえで、年齢・妊娠や出産のご希望・症状の程度などを総合的に判断し、薬物療法・手術療法を含む最適な治療法をご提案します。
手術が必要と判断した場合は、当院にて開腹手術を行います。なお、開腹手術の傷は表面に糸が出ない真皮埋没縫合を採用しており、6cm以下の小さな創での手術を行っています。子宮筋腫は多くの方に見られますが、必ずしも治療が必要なわけではなく、定期的な経過観察のみで十分なケースも多くあります。気になる症状がある場合は、まずお気軽にご相談ください。
卵巣腫瘍
07 卵巣腫瘍(卵巣のう腫)とは

卵巣は子宮の左右に一つずつある臓器で、通常は2〜3cm程度の大きさです。この卵巣に発生した腫瘍を「卵巣腫瘍」といい、内部に液体がたまった袋状のものを「卵巣のう腫」と呼びます。
卵巣のう腫はたまる内容物の種類によって、漿液性腺腫・粘液性腺腫・成熟のう胞性奇形腫・内膜症性のう胞(チョコレートのう胞)などに分類されます。多くは良性ですが、一部はがん化するリスクがあるため、定期的な経過観察が重要です。
08 卵巣腫瘍の症状
腫瘍が小さいうちはほとんど無症状で、健診や検診の際に偶然発見されることも少なくありません。腫瘍が大きくなると、腹部の膨満感・下腹部痛・頻尿などの症状が現れることがあります。また、卵巣がねじれる「茎捻転」や腫瘍の破裂が起きると、突然の激しい下腹部痛が生じ、緊急手術が必要になる場合があります。
09 卵巣腫瘍の治療

良性が疑われ、症状がなく腫瘍が小さい場合は、すぐに治療をせず定期的な経過観察を行うことがほとんどです。一般的には直径5〜6cmを超えると、捻転や破裂のリスクが高まるため手術を検討します。また、ある程度の大きさになると悪性の可能性も考慮する必要があります。
手術は腹腔鏡下手術が多く選択されます。開腹手術に比べて体への負担が少なく、回復が早いため入院期間が短く、術後比較的早期に日常生活に戻ることが可能です。
卵巣腫瘍は症状が出にくい病気です。子宮頸がん検診と合わせて超音波検査を受けることで早期発見につながりますので、定期的な検診をおすすめします。
当クリニックの治療方針
経腟・経腹超音波検査やMRI検査を用いて、腫瘍の大きさ・種類・悪性の可能性などを正確に診断し、治療の必要性を慎重に判断します。良性が疑われ症状がない場合は、定期的な経過観察を行うことがほとんどです。
手術が必要と判断した場合は、病状や患者さまの状況に応じて適切な術式をご提案します。なお、悪性が疑われる場合や高度な専門的手術が必要な場合は、連携する専門医療機関へご紹介いたします。卵巣腫瘍は自覚症状が現れにくく、検診で偶然発見されるケースも少なくありません。子宮頸がん検診と合わせた超音波検査で早期発見が可能ですので、定期的な受診をおすすめします。