01 月経不順とは

月経不順(生理不順)とは、前の月経が始まってから24日以内に次の月経が来る、または39日以上経っても次の月経がこない状態を指します。また、月経期間が2日以内と著しく短い、もしくは8日以上ダラダラと続く場合も月経不順に該当します。
正常な月経の目安は、周期が25〜38日、持続期間が3〜7日、経血量が20〜140mlとされています。月経周期は年齢や生活リズムによって変化するため、毎月まったく同じ日数になるわけではありませんが、この目安から大きくはずれている場合は早めに受診することをおすすめします。
月経不順はホルモンバランスの乱れだけでなく、婦人科系疾患が隠れているサインである可能性もあります。「いつもと違う」と感じたら、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。
02 生理不順の原因
月経不順を引き起こす原因はさまざまですが、最も多いのがホルモンバランスの乱れです。月経は「視床下部」「脳下垂体」「卵巣」の3つの器官が連携しながらホルモンを分泌することで調節されています。
| 器官 | 役割 |
|---|---|
| 視床下部 | 卵巣のホルモン分泌量を把握し、脳下垂体に性腺刺激ホルモン放出ホルモンを分泌する。自律神経や内分泌全体をコントロールする重要な部位 |
| 脳下垂体 | 視床下部からの指令を受けて、卵巣に向けて性腺刺激ホルモンを分泌する |
| 卵巣 | 性腺刺激ホルモンを受けて、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌する |
この連携のどこかに乱れが生じると、月経周期や経血量に影響が出ます。特に視床下部は心身のストレスに敏感なため、強いストレスを受けるとホルモンの分泌バランスが崩れ、月経不順につながることがあります。
03 月経不順になりやすい方

以下の項目に多く当てはまる方は、月経不順を起こしやすい傾向がありますので、注意が必要です。
- 短期間に5kg以上の体重の増減があった
- BMI18.5以下、もしくは体脂肪率が17%以下
- 生活環境に大きな変化があった
- 人間関係でストレスを抱えている
- 栄養バランスに偏りがある
- 睡眠不足や睡眠の質が低下している
- 出産直後または授乳中である
- ハードな運動やトレーニングを継続している
- 入浴をシャワーのみで済ませることが多い
04 生理不順の種類とセルフチェック
月経不順は症状によって以下のように分類されます。当てはまる状態がある場合はお気軽にご相談ください。
| 種類 | 状態・特徴 |
|---|---|
| 不整周期月経 | 月経周期が安定せず、24日以内だったり39日以上だったりする状態。25〜38日の範囲でのバラつきであれば大きな心配は不要だが、生活習慣の見直しを |
| 無月経 | 妊娠していないのに3ヶ月以上月経がない状態。婦人科疾患やホルモン異常が原因のことが多く、放置すると不妊リスクが高まるため早めの受診が必要 |
| 頻発月経 | 月経周期が24日以内と短い状態。「月に2回生理がくる」と感じる方も多い。排卵出血と月経を混同しているケースもあるため、出血の量や期間で見分けることが大切 |
| 稀発月経 | 月経周期が39日以上と長い状態。定期的な排卵があれば緊急性は低いが、排卵を伴わない場合は不妊につながる可能性があり、妊娠を希望する方は早めに受診を |
| 過短・過少月経 | 月経期間が2日以内で終わる(過短月経)、または経血量が著しく少ない(過少月経)状態。ホルモン治療による変化でなければ受診が必要 |
| 過長・過多月経 | 月経期間が8日以上続く(過長月経)、または経血量が著しく多い(過多月経)状態。貧血や疲れ、めまいを伴うこともある。昼間でも夜用ナプキンが必要なほどの出血量が続く場合は要注意 |
05 生理が来ない理由
月経がこない理由にはさまざまな原因が考えられます。
| 原因 | 内容 |
|---|---|
| 妊娠 | 妊娠が成立すると子宮内膜を排出する必要がなくなり、月経が止まる。妊娠の可能性がある場合はまず妊娠検査薬で確認を |
| 早期閉経(早発卵巣不全) | 40歳より前に卵巣機能が低下し、無月経が続く状態。排卵がなく妊娠が難しくなるほか、更年期様の症状が出ることもある |
| 甲状腺疾患 | バセドウ病・橋本病などの甲状腺疾患は、ホルモン分泌に影響を与えて月経不順や月経異常を引き起こす。妊娠中の場合は流産・早産リスクにもつながる |
| ストレス・過度な運動 | 強いストレスや過度な運動は視床下部の働きを弱め、ホルモン分泌のバランスを崩して月経を止めることがある |
| 体重の急激な変化 | 短期間での大幅な体重増減は、ホルモン分泌を司る器官が適応しきれずバランスを崩す原因となる |
| 子宮奇形 | 18歳を過ぎても初経がない、または正常に来ていた月経が突然止まった場合は、先天的な子宮奇形の可能性も。手術によって改善できるケースが多い |
06 生理不順だと妊娠しにくくなる?

妊娠に重要なのは、月経周期や経血量よりも「排卵が正常に行われているかどうか」です。月経不順があっても、定期的に排卵が起きていれば妊娠への影響は少ないといえます。
まずは基礎体温を記録して、排卵の有無を確認してみましょう。基礎体温が低温相と高温相の二相に分かれていれば、排卵が起きている可能性が高いです。3ヵ月ほど継続して計測し、定期的な排卵が確認できれば、ほとんどの場合は妊娠への影響は少ないといえます。
一方、体温変化にバラつきがある、または体温がほぼ一定で変化がない場合は無排卵の可能性があります。将来的に妊娠を希望する方は、早めにご相談ください。
07 生理不順を改善する5つのポイント

女性のホルモンバランスは繊細で、心身への負荷や生活習慣の乱れによって崩れやすい性質があります。月経不順の改善には、日常生活の見直しが大切です。
- 1. 食生活の改善
塩分・糖分・添加物が多い食事や過度な飲酒、極端なダイエットは、体内のミネラルを奪いホルモンバランスを乱す原因となります。主食・主菜・副菜をバランスよく組み合わせた食事を意識し、不足する栄養素はナッツやフルーツ、サプリメントで補いましょう。 - 2. 睡眠の質の向上
ホルモンの分泌には脳の働きが深く関係しています。質の良い睡眠を確保するために、就寝前のスマートフォン操作や強い光を避け、夕食は就寝3時間前までに済ませることを心がけましょう。就寝1.5時間前に39〜40℃のぬるめのお湯で湯船に浸かることも、睡眠の質向上に効果的です。 - 3. 生活習慣の見直し
心身のストレスはホルモンバランスの乱れに直結します。喫煙は女性ホルモンの分泌を低下させるため、禁煙または本数を減らすことをおすすめします。急激な生活改善はかえってストレスになることもあるため、自分のペースに合わせて少しずつ取り組むことが大切です。 - 4. 基礎体温の記録
基礎体温は、身体が安静な状態のときの体温です。毎朝起き上がる前に婦人体温計で計測し、記録をつけましょう。体温の変動パターンからホルモンバランスの状態や排卵の有無を確認することができ、受診時にも役立ちます。 - 5. 婦人科での受診・検診
月経不順は痛みや目に見える症状が出にくいため、放置してしまう方が多いのが現状です。しかし、月経不順は身体からのSOSサインである可能性があります。背景に婦人科疾患やホルモン異常が隠れていることも多く、早めに原因を突き止めることが大切です。自己判断せず、気になることがあればお気軽にご相談ください。