人工妊娠中絶
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01 人工妊娠中絶について

妊娠22週未満の時期に、医学的な処置によって意図的に妊娠を終了させることを「人工妊娠中絶」と言います。これは自然に起こる流産とは異なり、母体保護法に基づいて行われる医療行為です。
手術が受けられるのは妊娠21週6日までと法律で定められており、妊娠の時期によって処置の方法や身体への負担も変わります。迷われている方も含め、まずは早めにご受診されることをおすすめします。
「どうすればいいかわからない」「誰にも相談できない」そのような状況で、一人で抱え込んでいる方も少なくありません。当院では、プライバシーに十分配慮した環境のもとで診察を行っており、第三者に診察内容をお伝えすることは一切ありません。
手術をすすめるのではなく、今のあなたにとって一番よい選択を、一緒に考えさせてください。まずはお気軽にご相談ください。
人工妊娠中絶を受けるにあたっては、同意書のご提出が必要です。下記より同意書(様式)をダウンロードいただけますので、事前にご記入のうえご持参ください。ご不明な点は受診時にお尋ねください。
02 中絶できる時期と方法
妊娠週数によって、中絶の方法や身体への負担が異なります。できるだけ早い時期に受診することが、お体への負担を軽減することにつながります。
初期中絶(妊娠11週6日まで)
手術(掻爬法または吸引法)または内服薬による処置が可能な時期です。手術は静脈麻酔を使用し、子宮内容物を除去する方法で行います。一般的に日帰りで対応でき、術後の回復も比較的早いとされています。内服薬による中絶については、後述の「内服による人工妊娠中絶の方法」をご覧ください。
中期中絶(妊娠12週0日〜21週6日)
子宮収縮剤を用いて人工的に陣痛を起こし、流産させる方法をとります。入院が必要となり、身体的・精神的な負担も大きくなります。また、妊娠12週以降の中絶は、役所への死産届の提出と胎児の埋葬許可証の取得が法律で義務づけられています。
妊娠22週以降は中絶不可
日本の法律では、妊娠22週以降の中絶は認められていません。妊娠の可能性がある場合は、できるだけ早めにご受診ください。
03 人工妊娠中絶手術のリスク

適切な訓練を受けた医師が行う中絶手術は、安全性の高い処置です。しかし、すべての医療行為と同様に、一定のリスクが伴います。あらかじめご理解いただいたうえで手術に臨んでいただけるよう、以下にご説明します。
- 子宮内は直接目視できない状態での処置となるため、組織の一部が残ったり(絨毛遺残)、子宮内を傷つけたりすることがあります
- 子宮や卵管に細菌が入り、感染症・炎症を起こすことがあります
- 中期中絶では、子宮収縮剤の影響で子宮破裂が起こることがあります
- 静脈麻酔は比較的早く覚醒するため、処置が長引いた場合に痛みが出ることがあります
- 麻酔の影響で、覚醒の遅れ・体温低下・ふるえ・頭痛・吐き気・嘔吐・かゆみが見られることがあります
- まれに、気道確保困難・低酸素・誤嚥・呼吸抑制などが起きる可能性があります
- 使用する薬剤によっては、アレルギー反応や喘息発作が起きる可能性があります
いずれも頻度は低いですが、術後に気になる症状が現れた場合は、早めにご連絡ください。
04 内服による人工妊娠中絶の方法
人工妊娠中絶薬「メフィーゴパック」について
メフィーゴパックは、手術を使わずに妊娠を終了させる内服薬で、2023年に日本で承認されました。ミフェプリストン(1剤目)とミソプロストール(2剤目)の2種類の薬を段階的に服用し、子宮収縮を促して妊娠を中断します。
対象となるのは、妊娠9週0日までに1剤目の服用を開始できる方で、事前の診察により子宮内妊娠が確認されていることが条件です。服用は必ず医師の管理のもとで行い、経過確認も含めて当院でのサポートを行います。
ただし、約1割の方は薬が十分に効かず、手術が必要になることがあります。また、週数が進むほど薬だけでは完結しにくくなるため、検討される場合はできるだけ早い段階でのご相談をおすすめします。
なお、心拍確認前に1剤目を服用した場合は「妊婦のための支援給付」の対象外となりますので、ご注意ください。
メリット
- 手術を使わない内服治療のため、身体への負担が比較的少ない
- 自宅待機で胎嚢が排出される場合、費用の負担が抑えられる
デメリット・注意点
- 約1割の方は薬が効かず、手術が必要になる
- 手術まで必要になった場合、週数によっては費用が高額になる可能性がある
- 2剤目の内服から排出まで、自宅で数日を要することがある
- 自宅待機中は日常生活に制限が生じる
- ご希望により院内での一泊入院も選択可能です(別途院内管理料〔自費〕が必要です)
05 注意すべき副作用

手術・内服どちらの方法においても、処置後に以下のような症状が現れることがあります。
出血(数日〜最長約3週間)
処置後はしばらく出血が続きます。量や期間には個人差があり、少量がじわじわ続く場合から、数日で落ち着く場合までさまざまです。内服薬の場合は、2剤目服用から4時間以内に出血が始まることが多く、胎嚢排出の前後で量が増えることがあります。
出血が多い場合はすぐにご連絡ください。目安として、夜用ナプキンを1時間に2回以上交換するほどの出血が2時間以上続く場合は、速やかに当院へお電話ください。
下腹部の痛み(数日〜1週間程度)
処置後は子宮が収縮して回復しようとするため、生理痛のような痛みが続くことがあります。処方する鎮痛剤で対応できる程度であることがほとんどです。内服薬の場合、胎嚢排出の直前に痛みがもっとも強くなる傾向があります。鎮痛剤を使用しても強い痛みが続く場合はご連絡ください。
吐き気・嘔吐・だるさ
麻酔や薬の影響で、処置後にふわふわした感覚や吐き気が続くことがあります。多くの場合、当日中〜翌朝には落ち着きます。処置当日の車の運転は絶対に避け、可能であればお迎えの方にご同行いただくことをおすすめします。
発熱
内服薬服用後に一時的な発熱が起こることがあります。多くは数時間で落ち着きますが、高熱が長く続く場合や、悪臭のあるおりもの・強い腹痛を伴う場合は感染症の可能性があるため、早めにご連絡ください。
めまい・頭痛
まれに見られますが、多くは処置後30分〜数時間で落ち着きます。症状があるうちは無理に動かず、安静にしてください。
重大な副作用(まれ)
まれに以下のような重篤な症状が起こる可能性があります。該当する症状が現れた場合は、速やかに当院またはお近くの救急へご連絡ください。
- 重度の子宮出血(輸血・外科的処置が必要になる場合があります)
- 感染症・子宮内膜炎(発熱・悪寒・倦怠感・異常なおりものが続く場合)
- ショック・アナフィラキシー(冷汗・顔面蒼白・意識消失・全身のかゆみなど)
- 脳梗塞・心筋梗塞(突然の頭痛・意識の低下・胸の締め付け感・息苦しさなど)
- 重度の皮膚障害(広範囲の発赤・水ぶくれ・粘膜のただれなど)