子宮がん検診
01 子宮がんとは
子宮がんは、できる部位によって「子宮頸がん」と「子宮体がん」の2種類に分けられます。
子宮の出口にあたる子宮頸部にできるがんを「子宮頸がん」、妊娠中に赤ちゃんを育てる子宮の奥(子宮体部)にできるがんを「子宮体がん」と呼びます。
どちらも早期発見により治療の選択肢が広がるため、定期的な検診が大切です。
02 子宮頸がん

子宮頸がんとは
子宮頸がんは、子宮頸部に発生するがんで、ほとんどの場合「CIN(子宮頸部上皮内腫瘍)」や「AIS(上皮内腺がん)」といった前がん状態を経て、がん化していきます。前がん状態の段階では自覚症状がなく、おりもの・出血・痛みはほぼありません。
がんが進行すると、月経以外の時期や性交時の出血、においを伴う茶色や膿のようなおりもの、水っぽいおりものの増加などの症状が現れることがあります。さらに進行すると、多量の出血、下腹部・腰の痛み、尿や便への血液混入などの症状が出ることもあります。
毎年全国で約1万人が子宮頸がんと診断され、約3,000人が亡くなっています。発症のピークは30代で、15〜39歳のAYA世代(思春期・若年成人)のがん罹患者の中でも上位を占めています。早期発見であれば比較的治療しやすいがんですが、進行すると治療が難しくなるため、症状がなくても定期的な検診を受けることが重要です。
子宮頸がんの原因(HPV)
子宮頸がんの発生には、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が深く関わっています。HPVは性交渉によって感染し、性交渉の経験がある女性の80%以上が50歳までに感染するといわれています。多くの場合は免疫によって自然に排除されますが、感染が持続すると前がん病変や子宮頸がんへと進展することがあります。
症状がない場合でも、性交渉の経験がある方はHPVに感染している可能性があります。定期的な子宮頸がん検診と、予防のためのHPVワクチン接種をおすすめします。
子宮頸がんの検査
- 子宮頸部細胞診
子宮の出口(頸部)をブラシで軽くこすって細胞を採取し、がんや前がん病変の有無を調べるスクリーニング検査です。20歳以上の方は2年に1回の受診が推奨されています。月経中でない時期に受けることで、より正確な結果が得られます。 - コルポスコピー・組織診(精密検査)
細胞診で異常が認められた場合は、コルポスコープ(拡大鏡)で子宮頸部を詳しく観察するコルポスコピーと、病変部分の組織を採取して検査する組織診を行います。精密検査が必要な場合は、連携する専門医療機関にご紹介いたします。
検診結果とその後の対応
| 検診結果 | 対応 |
|---|---|
| NILM(異常なし) | 2年に1回の定期検診を継続 |
| ASC-US | HPVハイリスク検査を実施。陽性の場合は精密検査へ、陰性の場合は6〜12ヵ月後に再検査 |
| LSIL・ASC-H・HSIL・SCC | 速やかに精密検査(コルポスコピー)が必要なため、専門医療機関へご紹介 |
早期発見・早期治療のために
子宮頸がんは、前がん状態(CIN)の段階で発見・治療することが可能です。CINはCIN1→CIN2→CIN3と段階的に進行し、CIN3では治療が必要です。CIN1・CIN2の段階では、定期的な経過観察を行いながら進行がないかを確認します。症状がなくても、定期的な検診を続けることが早期発見につながります。
03 子宮体がん

子宮体がんとは
子宮体がんは、子宮の奥(体部)の内膜に発生するがんで、近年日本の成人女性に増加しているがんのひとつです。子宮頸がんに比べて比較的高齢で発症しやすく、発症のピークは50代です。
最も多い自覚症状は「不正出血」です。月経以外の時期や閉経後に性器出血がある場合は、特に注意が必要です。気になる症状があれば早めに受診してください。
子宮体がんの検査
- 細胞診
子宮の入り口から細いチューブ状の器具を挿入し、子宮内膜の細胞を採取して検査します。 - 組織診
細胞診で異常が認められた場合、細いスプーン状の器具で子宮内膜の組織を採取し、より詳しく調べます。がんかどうかの確定診断を行う検査です。広範囲の採取が必要な場合は麻酔をかけて行います。組織診が必要な方は、連携する専門医療機関にご紹介いたします。 - 経腟超音波検査
閉経後の方では、子宮がん検診と合わせて経腟超音波検査を受けることで、子宮体部の状態をより詳しく確認することができます。不正出血やおりものの変化が気になる方にも積極的にお勧めしています。
早期発見のために
不正出血やおりものの変化に気づいたときは、早めに婦人科を受診してください。子宮体がんは早期に発見・治療することで、予後が大きく改善します。気になる症状があればお気軽にご相談ください。
ワクチン
04 子宮頸がんとHPVの関連性

子宮頸がんの発生には、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が深く関わっています。HPVは性交渉によって感染するウイルスで、感染した場合でも90%以上のケースでは2年以内に自然に排除されます。しかし、一部では感染が長期間続くことがあり、そのまま放置すると子宮頸がんへと進展するリスクがあります。
子宮頸がんから最も高頻度に検出されるのはHPV16型で、次いでHPV18型とされています。症状がない段階でも感染している可能性があるため、性交渉の経験がある方は定期的な子宮頸がん検診を受けることが重要です。
05 子宮頸がんワクチンについて

子宮頸がんの予防には、HPVワクチンの接種が有効です。性交渉によるHPV感染を防ぐため、性交渉を経験する前にワクチンを接種することが推奨されており、HPV感染を約70〜80%予防する効果が期待できます。
当院では子宮頸がんワクチンの接種を推奨しています。「ワクチンを接種すべきか迷っている」「副反応が心配」など、ご不安やご不明な点があればどうぞお気軽にご相談ください。
06 HPVワクチンの種類
現在、日本で承認されているHPVワクチンは以下の3種類です。
| ワクチン名 | 対応するHPV型 | 予防できるもの |
|---|---|---|
| 2価ワクチン (サーバリックス®) |
16型・18型 | 子宮頸がんの主な原因となるHPV |
| 4価ワクチン (ガーダシル®) |
6型・11型・16型・18型 | 子宮頸がんに加え、尖圭コンジローマも予防 |
| 9価ワクチン (シルガード9®) |
6型・11型・16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型 | より多くの型のHPVをカバー。2020年5月に日本で承認 |
ワクチン接種と定期的な子宮頸がん検診を組み合わせることで、子宮頸がんをより効果的に予防することができます。