前葉から分泌されるホルモン
●卵胞刺激ホルモン(FSH)
8歳から10歳ごろの思春期前期より分泌が増え、血液中に急に多量に出現します。
女性では卵巣に作用して、原始卵胞を徐々に成熟卵胞へと促します。男性に対しては、睾丸に働きかけて精子を成熟させます。
女性では月経直後より排卵まで分泌は徐々に増し、排卵時にピークとなります。そして卵巣からの排卵作用を助長します。
このホルモンの働きが少ないと、卵巣は生まれたときのままで、卵巣の発育が起こりませんので無月経の原因となります。
●黄体化ホルモン(LH)
卵巣で成熟した卵胞が排卵を起こすように働きかけ、破裂した卵胞から卵がとび出すと、残りの卵胞組織を黄体に変える働きをします。
このため、この黄体化ホルモンはふだんは少量しか分泌されませんが、排卵直前にはふだんの4倍量にはね上がって、
強力に排卵を誘発します。
このホルモンの強力なバックアップがないと、卵巣は排卵できません。
男性では精巣の間質細胞に作用して、テストステロンの分泌を促します。
●プロラクチン
かつては黄体刺激ホルモンとよばれ、卵巣において黄体を刺激して黄体ホルモンの分泌を促します。
乳腺に対しては催乳ホルモンとも呼ばれ、乳汁分泌を促します。
産後におっぱいが出るのはこのホルモンのおかげです。
プロラクチンの分泌は、妊娠初期より徐々に増加し、分娩直後にはピークになります。
この間に乳腺はゆっくりと。その組織の充実をはかります。
分娩が終わり、胎盤のホルモンによる抑制が解除されると、がぜん乳腺は乳汁分泌を開始します。
しかし、このプロラクチンが異常に分泌されすぎると、卵胞刺激ホルモン(FSH)や
黄体化ホルモン(LH)の作用を阻害して、卵巣の機能をストップさせてしまいます。
そのため無排卵、無月経となり、不妊をひきおこします。
しかも妊娠に関係なく乳房から乳汁が出てきます。
●副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
副腎皮質に作用して、副腎皮質ホルモンを分泌させる働きをします。
副腎皮質刺激ホルモンが過剰分泌されると カッシング病となり、異常な肥満と月経異常を起こします。
●甲状腺刺激ホルモン
甲状腺に作用して、甲状腺ホルモンの分泌を促進させたりします。
この甲状腺刺激ホルモンは、ホルモン分泌の最高中枢である視床下部から出る、甲状腺 刺激ホルモン放出ホルモンによって
分泌が左 右されます。
甲状腺の働きが悪いと、甲状腺刺激ホルモンが出されて、甲状腺を働かせるのです。
●成長ホルモン(GH)
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンと、成長ホルモンの相互作用によりからだの成長発達が促されます。
小児期に親との人間関係や精神関係が幸福でないと、肉体的にも精神的にも不安定で、さまざまな障害が起こるといわれますが、
それらの障害のなかには、この成長ホルモンの分泌低下による愛情遮断性小人症(しゃだんせいしょうじんしょう)が報告されています。
成長ホルモンの骨をのばす働きは、思春期以降に卵巣から分泌される卵胞ホルモンや男性ホルモンによって頭うちとなります。