基礎体温は黄体ホルモンで上昇する
排卵期に向かって、卵巣内の卵子は順次成長します。
未熟な原始卵胞(げんしらんぽう)が下垂体前葉(かすいたいぜんよう)からの卵胞刺激ホルモンの働きを受けて、
成熟卵胞へと発育するとき、その卵胞から卵胞ホルモンが出されます。
卵胞ホルモンの分泌されている間は、体温は低温相を示します。
卵胞が成熟しきったとき排卵が起こります。さて、卵子がとび出したあとに、卵巣にできた黄体からは黄体ホルモンが産出されます。
黄体ホルモンは体温をつかさどっている脳の体温中枢に作用を及ぼし、体温を上昇させるのです。
この作用は黄体が存続している間じゅう続きます。ふつうは約2週間続きます。
この期間を高温相というのです。この間、なんとなくからだがホカホカ暖かいのは気のせいではないのです。
2週間黄体ホルモンを出し続けた黄体がしぼむと、黄体ホルモンもからだの中になくなるため、体温は再び低温相に下がります
と、 同時に月経が始まるのです。
そして、また卵胞ホルモンの分泌というふうに繰り返していくのです。
排卵後にちょうど受精し、妊娠が成立すると、黄体はしぼまずにそのまま黄体ホルモンを出し続けるので、
ずっと高温相が継続します。2週間以上高温相が続くと、妊娠が考えられるのはこの根拠からなのです。
ピルは少 量の黄体ホルモンが含まれているので、服用中は高温相をていします。
規則正しく正確な目盛りでつけている場合は、もう一つの現象がみられることがあります。
低温相の最終日に高温相との境で、体温が低温相よりさらにストンと下がる日のあるこがあります。
これを体温陥落日といい、一般にはこの日がいわゆる排卵日と呼ばれています。
しかし、確実に体温陥落日に排卵するとはかぎりません。
正常な女性では、約80ハーセントにみられ、月経不順や不妊の人は、この体温陥落日がはっきりしない人が多いようです。
確実にこの日に排卵するとはいえないものの、おおよその場合、この体温陥落日と翌日の上昇しかかっている日の、
2日間の間には 排卵されたと考えてよいでしょう。
排卵された卵子は女性のからだの中で、約24時間から48時間生きていて、精子とのめぐり会いを待っています。