はじめに | 女性の医学BOOK

　女性はこの世に生を受けた瞬間から、幸福に生きる権利があり、絶対に幸せにならなければいません。

　社会の第一線で男性と肩を並べて仕事をしている女性でも、家事と子育てに毎日毎日があっという間にすぎてしまう女性でも、一人で鏡をながめながら、また、おふろでからだをみがきながら、女性に生まれたことの幸せを、しみじみかみしめられるような一生を過ごしてほしいものです。

　そのためには、女性には女性特有のからだの構造と生理があり、それが、年齢とともに自然に変化していくことを、正しい知識として身につける必要があります。

正しい知識があれば、未然に防げたであろう性にまつわるアクシデントや、ちょっとしたからだの変化についての注意によって、ごく早期に発見されたであろう病気が、その女性の運命を大きく変えることになるからなのです。

　生来、毋となれる心身をもつ女性は、自分自身の健康管理だけでなく、出産、育児という人類の未来へつながる大事な任務もあるのです。

望まない妊娠をしたり、妊娠に気づかず、薬を濫用したり、Ｘ線検査を受けてしまってからあわててもだめなのです。
たいせつにつちかった愛情が実った結果の妊娠は、やさしく育くまれ、尊い生命を誕生させるのです。

そして、その子が成長していく過程においては、母親としてそっとアドバイスができるだけの知識が必要になってくるのです。

　本書は、初潮を迎えてちょっととまどう若いあなた、これから結婚する夢多きあなた、結婚後何年も妊娠から縁がないあなたと伴侶、すでに更年期を迎えてゆれ動くあなた、そして、思春期の娘に女性のからだについての知識を与えたい、と考えている母親のあなたの一助となるようにと書き上げました。

　本書の執筆にあたり、夫、松峯敬夫（外科医博）、妹、中島静香（皮膚科医博）の協力を得ました。