13子宮

 腟をさらに奥へ上がっていくと、子宮があります。
子宮は骨盤の中に保護されています。

すぐ前には膀胱があり、すぐ後ろには直腸があり、
この両者にはさまれている洋梨形の臓器です。

 長さ8、9センチ、厚さ1〜3センチの厚い平滑筋壁でできた袋で、
内腔は7センチ、重さは約50グラムぐらいです。

左右に腕を広げたようなかっこうで、卵管がついています。
小さい臓器ですが女性の性器のなかでは重要なものなので、
こまかく分けて名称がつけられています。

●子宮体部
 子宮の三分の二を占めている大きい部分をいいます。
内部は狭い空洞になっています。壁は厚い筋線維が縦横に走り、
驚くべき伸縮性をもっています。

 妊娠していないときはせいぜい8、9センチの長さの子宮が、
ひとたび妊娠すると赤ちゃんの発育に伴って、伸展してゆき、臨月にもなると、
30〜35センチまでなります。

重量も50グラムからだんだん重くなって、分娩時の子宮だけの重さは
500〜700グラムにもなります。

 ですから体重が3、4キログラムもある赤ちゃんを育てて分娩することができるのです。
驚くべきというよりほかありません。そして分娩が終了すると、とたんに収縮を始め、
一か月から二か月後にはまったくもとの大きさに戻るのです。

●子宮頸部
 子宮体に続く下の部分を子宮頸部といいます。
下部の腟とつながっているところを子宮頸部の子宮腟部といいます。

 これは腟に指を深く入れるとさわることができます。
子宮体部から頸部に移行する部位を内子宮口といい、腟から子宮腔に入る部分を外子宮口といいます。

内子宮口と外子宮口の間を頸管といいます。
 外子宮口は子宮の入り口で腟腔に向かって開口しています。
開口といっても鉛筆のしんがやっと入る広さですので、タンポンや指はどうやっても入りません。

通過できるのは内腔から出てくる月経血と、外から進入していく精子だけです。

 子宮の壁はがんじょうな筋肉組織でできていますが、内腔はとてもソフトな内膜組織でできています。
子宮内膜は子宮体部の内側全体をおおっている粘膜で、卵巣ホルモンの働きで、
増殖したり月経を起こしたりしています。

 膀胱と直腸の間にある子宮の正常な位置は、膀胱のほうにやや傾くと同時にやや腰を曲げたような位置で、
これを子宮の前傾前屈といいます。骨盤の内側から子宮に向かって、子宮を支えている靭帯が、
ほどよく子宮を引っぱって、この角度を保っています。
この靭帯が何かの原因でゆるんだりすると、子宮後転症となり、
腰痛や便秘の原因となることがあります。