月経の起こるしくみ

こちら(15卵巣)でも述べましたが、女性は胎児のころから左右の卵巣にそれぞれ数百万個の原始卵胞を保有しています。
この原始卵胞は母体内にいる間は、母体の胎盤(たいばん)や下垂体(かすいたい)の分泌(ぶんぴつ)する
卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)によってわずかに発育します。

 ところが、出生と同時にそれらのホルモンの影響下からはずれるため、何の変化もみられなくなります。
だから2歳から8歳ぐらいまでは、女児も男児もホルモン分泌については似た状態を示しています。

 8歳から10歳ごろになると、下垂体からの卵胞刺激ホルモンの量が急激に増加します。
すると、それまで休止期にあった原始卵胞は順序よく発育を始めます。一周期(約28日から32日ぐらい)に
3、4個の原始卵胞が、卵胞刺激ホルモンの刺激を受けて成熟していきます。

 成熟しながら蓄えた卵胞液からは、卵胞ホルモン(エストロゲン)がたくさん分泌されます。
 卵胞のなかの一個が排卵をした瞬間に、同時に成熟していたほかの卵胞は、そのまま萎 縮し退化吸収されます。

 卵胞ホルモンは血液にのってからだの各部を回ります。子宮に到達した卵胞ホルモンは子宮内膜を増殖させ、
妊娠にそなえて受精卵が着床しやすいようにベッドづくりの基礎がためをします。

 また、脳のほうへ到達した卵胞ホルモンは、ある量になると、もうこれ以上卵胞ホルモンが増えないように、
下垂体からの卵胞刺激ホルモンの分泌をおさえるサインを出します。
ちょうど卵胞ホルモンが増殖しはじめてから2週間目にあたります。

このストップ・サインを受けた下垂体と間脳は、今度は排卵を促す黄体ホルモンを一度に多量に放出します。
この多量の黄体化ホルモンに驚いた成熟卵胞からは、卵子が一個とび出していきます。
もう未熟な原始卵ではなく、りっぱに成熟しか卵です。これを排卵といいます。

 卵がとび立ったぬけがらの卵胞は、みた目にも黄色の黄体というものに変わり、約2週間の間、黄体ホルモンを分泌し続けます。
 この黄体ホルモンもまた、血液にのってからだじゅうを回ります。
子宮内膜に到達した黄体ホルモンは、卵胞ホルモンによってフカフカに増殖された内膜を、さらに分泌相にして、
もっと重厚でソフトな内膜にし上げ、受精卵が着床しやすいようにベッドーメークを行ないます。

 そして2週間、ペッドーメークをして受精 卵の到着を待ち主すが、十分なベッドの用意ができていても、
受精卵が着床しないと残念 ながらこのベッドづくりはご破算になり、子宮内膜は、子宮腔内のすみからすみまできれいにはがれて、
血液となって子宮口から腟へ、 腟から外部へと排出されます。
これが毎月起こる月経になります。

 以上のプロセスを大別すると、四つのステージになります。
すなわち、①卵胞期、②排卵期、③黄体期、④月経です。
 黄体ホルモンが分泌されなくなると、また、下垂体が卵胞刺激ホルモンの分泌を促し、卵巣の中では新しい卵胞が育ちはじめます。
妊娠しないかぎり、これが周期的に繰り返されるわけです。
 この四つの段階が規則正しくなっている女性は性的に非常に健康であるというわけです。