更年期
更年期というのは、今まで活躍していた卵巣が徐々にその機能に低下を生じ、
数年間で停止し、女性ホルモンの中心的役割を副腎皮質にバトンタッチする移行期をいいます。
卵巣は下垂体から出される卵胞刺激ホルモンや、黄体化ホルモンに反応して、
卵胞ホルモンや黄体ホルモンという女性ホルモンを分泌しています
ところが卵巣機能が弱まり、感受性が鈍ってくると、
今までの下垂体からのホルモン量では卵巣が反応しません。
そこで下垂体はもっと多くのホルモンを分泌して、卵巣を刺激しようとします。
正常に働いているときの5倍も10倍も分泌されることがあるのです。
それでも卵巣はどんどん衰退していくばかりなのです。
ホルモンというのはバランスよく分泌されてはじめてからだをスムーズに働かせるものですから、
このことが、ときにはからだ全体のバランスをくずすもとになるのです。
そこで更年期障害というゾッとしない病気が現れてくるのです。
こうした変化のために「更年期」と聞くと、 もう女性としての役割が終わり、
あとは「おばあさん」になるのを待つばかりのように思われるのです。
確かに、平均寿命が60歳ぐらいの頃の昔の時代ですと、
更年期を迎える40歳から50歳はもう人生の終わりでした。
でも最近は違います。平均寿命が80歳代にまでのびていますから、
更年期というとちょうど人生の半ばにあたります。
人生においていちばん活動性にあふれる黄金時代ともいえる年代なのです。
母親としては、子育てが一段落し、やっと自分をかえりみる時間のできるときです。
キャリアーウーマンならば、社会的にも責任のある立場に立っているたいせつな年代です。
どちらにしても、おばあさんになったなどといっている場合ではありません。
からだの面からみると、体力に自信をもち、向こうみずにはげしく活動してきた成熟期を通り過ぎ、
ピット・インに入ってしばしの休息をとり、呼吸を整えて、残りの半分の人生を
ゆっくりと充実したものとするための準備段階なのです。