下垂体はホルモンのメッセンジャー
一口にホルモンといっても、さまざまな働きがあり、その目的によって分泌される場所
も異なります。下垂体(かすいたい)、甲状腺(こうじょうせん)、松果体(しょうかたい)、
副甲状腺、脾臓、すい臓、胃粘膜、副腎、卵巣、精巣などです。
ホルモン分泌は、多ければいいというものではありません。それぞれがバランスのとれたものでないと、
どこかに支障が起きてしまいます。
一か所でもホルモン量が多くなったり少ながったりしますと、からだは異常反応を起こし、それが長期間続けば、
その器官は完全に病気になってしまいます。
このように、ホルモン分泌というのは非常に微妙なものですが、これをコントロールするのが、
下垂体から分泌される六種類の刺激 ホルモンです。下垂体はいわば別格のホルモン分泌臓器なわけです。
下垂体というのは、脳の中心部にあって、まわりをしっかりとした骨でカバーされている、大豆ぐらいの大きさの臓器です。
そしてこんなに小さいのに、さらに前葉、 中葉、後葉と分かれ、ほかのホルモン分泌をコントロールするためのホルモンを、
分泌しているのです。
ただ、下垂体は刺激ホルモンをつくり、いつでも出せるように貯蔵していますが、かってに分泌されることはありません。
さらに上部の司令を出す視床下部(間脳ともいう)という脳の最高中枢すなわちホルモンのコントロールセンターが分泌を促すのです。
視床下部は、つねに血液中の諸々のホルモン濃度をチェックし、あるホルモンの濃度がちょっとでも高くなると、下垂体に司令を出し、
刺激ホルモンの分泌をひかえさせるようにするのです。
ところで視床下部からの司令は、刺激ホルモン放出促進ホルモンと、刺激ホルモン放出抑制ホルモンが分泌されることによって
行なわれる事実が最近解明されました。
たとえば、卵巣の性周期と関係の深いのは、卵胞刺激ホルモン放出促進ホルモンおよび放出抑制ホルモン、
黄体ホルモン放出促進ホルモンです。
ですから、心に大きなショックがあったり、ストレスがかかったりすると、この視床下部自身が調律を失い、
全体のホルモンバランスをくずすことになるのです。そのよい例が摂食障害です。