[コラム]東洋医学治療
西洋医学的アプローチで効果の上がらない慢性疾患に東洋医学を取り入れて、治療に成功した例がいくつもあります。
西洋医学は理論的に説明につくもの、現象として確認できるもの、数字としてあらわれるものを重視して発展してきました。
からだの中の欠陥をさがしだして治療するその姿勢がかえってからだに負担を与え過ぎることもあります。
東洋医学はデータや結果が西洋医学的アプローチでは客観的に示しにくいケースにも、長い歴史につちかわれた伝承的方法によって、
心身の調和をはかることから、副作用やからだに無理な負担をあたえることなく効果を上げています。
最近では免疫学的研究により東洋医学のメカニズムの解明がすすめられています。
■漢方薬治療
漢方薬は、西洋薬にくらべると比較的やさしく効く薬といえるかもしれません。
虚弱体質、冷え症、低血圧、貧血気味の女性には適してい ます。
また、西洋医学の副作用に敏感になっている人にも向いています。
女性に多い一般的症状にはまず、からだを温める漢方薬をもちいます。漢方=副作用がないと考えている人がいますが、
漢方薬もその人に合ったものを服用しないと効き目はありませんし、副作用があらわれることもあります。
そのため、証といって患者の症状や体質などを漢方医学独自の基準で判定した結果によって処方します。
婦人科でよく使われる漢方薬には、当帰、芍薬散(しゃくやくさん)、加味逍遥散(かみしようようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、
温経湯(うんけいとう)、女神散などがあります。
また、男性には裲中益、気湯(きとう)、八味地黄丸(はちみじおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、
朝鮮人参末(ちょうせんにんじんまつ)などを処方します。
最近では、袋に入った顆粒エキス剤がのみやすく好評です。
■温熱療法(遠赤外線療法)
赤外線は、電気ストーブやこたつ、グリルなどにも利用されている、電磁波の一種です。
電磁波には波長の違いによって、さまざまな種類がありますが、赤外線は目で見ることができる光(虹の赤から紫までのこと)の
赤より外側(波長が長い)にあるので、この名前なのです。
遠赤外線療法は、この赤外線の深達力と物質に吸収されて熱反応を起こすという特性を利用した温熱療法です。
方法は、通気・吸湿性に優れた専用ウエアに着替えてカプセルに入り、頭だけ出してからだがスツポリと包まれ座った姿勢のまま、
ゆっくりと後ろに倒れると同時に遠赤外線によって温まってくるというもの。
からだの一部だけでも効果はありますが、全身を温めることにより効果は高まります。
60度で15分温めるのが一般的で、のぼせないよう顔には冷風をあてるため、露天風呂と同じ心地になります。
この療法は、体内の分子活動を活発にするので、血管が拡張して血液循環をよくし、新陳代 謝を高め、体脂肪を燃やします。
また、毛穴が開くので、体内にたまっていた老廃物を外に出してくれます。
ストレスによって自律神経系に失調をきたし、血行障害、血液循環不全を起こし内分泌系にも悪影響をおよぽしているとき、
肩こり、腰痛、頭痛、不眠でつらいときにも効 果を発揮します。
■鍼灸治療
鍼灸治療は西洋医学が無効の場合の手段ではありません。長年にわたって多くの人々の支持を受けてきたのは、
治療直後に気持ちよかったり、痛みがとれたりとはっきりした効果があるからです。
現代の不利なストレスにより、生体にゆがみが生じているとき鍼灸治療は、からだの機能を本来のあるべき姿に補正するのです。
自律神経の安定・調和作用、痛みの緩和、抵抗力促進、 血流改善、新陳代謝亢進、免疫力回復などに役 立つのです。
治療にあたるのは鍼灸師と鍼灸治療のできる 医師で、全身状態を把握して鍼灸治療の適応であると判断したものに行なわれます。
使い捨てのハリや厳重に消毒されたハリを、ツポを確認しながら一本ずつうっていきます。
ツボは経穴といい、鍼灸治療では診断と治療の場所であり、からだが手当てを求めている場所です。
経穴は、経絡といって、からだのすみず みにエネルギーを供給したり、全身機能を調節している流れの上に散在しています。
機能異常 やストレスの蓄積は、体表のツボに伝達されます。
そのため、この部位は鍼灸治療の刺激を効率よく受け入れることができるわけです。